[ワシントン 12日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が12日公表した3月21─22日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、米銀2行の経営破綻で広範な金融ストレスが引き起こされないと明確になるまで利上げを一時停止することが検討されたものの、最終的にはインフレ対応を優先すると結論付けたことが分かった。

議事要旨によると、金融部門の動向が融資や経済の行方に及ぼす影響を評価するために、数人が金利据え置きが適切かどうか検討した。ただ、政府とFRBが実施した措置が「銀行部門の状況を落ち着かせ、経済活動とインフレに対する短期的なリスクを軽減するのに役立った」との見解で一致し、金融部門を巡る新たな不確実性にもかかわらず0.25%ポイントの利上げが支持された。

物価情勢については、インフレ率は「FOMCの長期目標である2%を大きく上回っている」との見方が示され、「インフレに関する最近のデータで、長期的に2%に戻すのに十分なペースでインフレ圧力が緩和する兆候はほとんど見られていないとの見解で一致した」とした。

同時に、一部の参加者が銀行セクターの問題がなければ0.50%ポイントの利上げを検討したと表明したことも判明。議事要旨は「最近の銀行セクターの動向が雇用とインフレの見通しと見通しを取り巻くリスクに影響が及ぶ範囲で、FOMCの金融政策決定に反映させることで合意した」とした。

FRBは3月のFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ4.75─5.00%とすると全会一致で決定。ただ、米銀2行の経営破綻を受け金融市場が混乱する中、FOMC声明から「継続的な」利上げが適切との文言を削除し、利上げが近く一時停止される可能性があることを示唆した。

銀行部門は先月以来安定したものの、FRB当局者は信用状況の引き締まりの兆候がないかどうかを注視している。兆候があれば従来の予想よりも早く利上げを停止する可能性がある。

議事要旨ではそうした懸念が示された。FRBの調査先となっている市場関係者は金融部門のストレスが「銀行融資の減少につながる可能性が高く、それは一般的な金融状況を示す指標には反映されないだろう」と報告した。

議事要旨は「参加者はインフレ率が依然として非常に高過ぎること、労働市場が依然タイト過ぎることを認識し、結果としていくらかの追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれないと予想した」と記した。

また、銀行セクターのストレスがもたらす潜在的な影響を評価するFRBのスタッフは、年後半から始まる「穏やかなリセッション(景気後退)」を想定。その後、2024─25年に回復するとした。

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▽前回FOMC、4地区連銀が0.25%利上げ望まず=議事要旨<ロイター日本語版>2023年4月13日7:13 午前