[ワシントン 21日 ロイター] – 米金融安定監視評議会(FSOC)は21日、銀行以外の金融機関を監督対象に指定することを容易にするガイダンスと、金融システムリスクに適切に対応するための新たな手続きを公表した。意見公募(パブリックコメント)を実施する。

FSOCはイエレン財務長官が議長を務め、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長や他の主要金融規制当局の幹部らが参加。ノンバンクを金融システム上重要な金融機関に指定する権限が与えられていたが、トランプ政権下で行われた変更で困難になっていた。

イエレン長官はこれまでも、ヘッジファンド、プライベート・エクイティ、年金基金などを含むノンバンクについて、監視が不十分なために金融不安の要因になる恐れがあると懸念。この日のFSOCの会合で、銀行システムは健全としながらも「引き続き警戒し、状況を注意深く監視していく」と表明。銀行部門の混乱は金融規制当局の「仕事が終わっていない」ことを示しているとし、金融の混乱の発生と拡散を当初から防止するために、監督と規制の変更が必要になっていると述べた。

イエレン氏によると、ノンバンクを監視対象に指定するプロセスに最長6年かかる現状に対応するために、新ガイダンスでは「いくつかの不適切なハードル」が取り除かれる。財務省関係者は、こうしたプロセスは量的、質的な分析プロセスに置き換えられ、FSOCが重大な財務的苦境や企業活動が米国の金融安定に脅威を及ぼす可能性があるか判断するとしている。

財務省のファクトシートによると、FSOCが提案する新しいリスク評価の枠組みは、幅広い資産クラスや機関、活動などを見直すことで、金融安定リスクへの対応能力の強化を目的としており、債券、ローン、短期資金、株式、デジタル資産、デリバティブのほか、決済システム、銀行機関、ブローカーディーラー、資産運用会社、投資会社、保険会社、住宅ローンのオリジネーターやサービスなどが対象となる。

新しい枠組みは、FSOCと関連規制当局が潜在的な安定リスクを評価する際に考慮する脆弱性についても規定。これにはレバレッジのほか、流動性リスクやリスク管理などが含まれる。