[ジュネーブ 21日 ロイター] – 世界気象機関(WMO)は、地球環境を考える「アースデー(地球の日)」を控えた21日、世界の海面は測定を始めた1993年からの10年間と比べ2倍以上のペースで上昇しており、昨年は過去最高水準に達したとするリポートを発表した。

リポートは、極端な氷河融解と記録的な海洋熱で海面が上昇していると指摘。2002─23年に平均4.62ミリで海面が上昇し、90年代初めからの累計上昇は10センチを超えたと報告した。

WMOのペッテリ・ターラス事務局長は記者会見で、「われわれは既に、氷河融解と海面上昇に対する戦いに敗北している」と指摘。既に大量の地球温暖化ガスが排出されており、海面は「今後数千年にわたって上昇し続けるだろう」と述べた。

海面上昇のため沿岸都市や海抜の低い国家の存続が脅かされており、南太平洋の島国ツバルは沈没を想定してメタバース(仮想空間)を活用した「デジタル国家構想」を発表した。

さらにWMOは、昨年6・7月には南極の海氷レベルが過去最低に低下したと報告。また海面温度は過去最高水準となっており、58%が海洋熱波状態にあるとしている。

昨年は熱波により欧州で約1万5000人が死亡したとも指摘した。