中国は軍拡の意図説明を、英外相「悲劇的な誤算」リスク警告<ロイター日本語版>2023年4月26日10:19 午前
[ロンドン 26日 ロイター] – クレバリー英外相は25日の外交演説で、中国は大規模な軍備増強の意図を説明すべきとし、秘密にすれば「悲劇的な誤算」につながる恐れがあると警鐘を鳴らした。
英中関係はこの数十年間で最悪の状態にある。英国は国家安全保障を巡る懸念を理由に中国の投資を制限、中国が軍事的、経済的に強硬な姿勢を見せていることに警戒感を示している。
クレバリー氏はマンションハウス(ロンドン市長官邸)で演説し、新疆ウイグル自治区での中国による少数民族の扱いに「嫌悪」を示しながらも、英国は中国に「しっかりと、建設的に」関与すべきと述べた。
また、台湾侵攻は世界貿易を破壊し、中国や世界全体の経済に「壊滅的な打撃」を及ぼすと警告。台湾を巡る対立から距離を置こうとするマクロン仏大統領とは対照的に「台湾での戦争の影響を受けない国はない」と述べた。
中国外務省報道官は26日、台湾海峡の平和への最大の脅威は「台湾独立に向けた分離主義的行動と、外国勢力の黙認と支援」だと主張。
「英国が台湾海峡での平和と安定維持を望むのであれば、一つの中国の原則に厳格に従い、台湾の独立・分離に強く反対すべき」とした。
クレバリー氏は、英国はインド太平洋の同盟国との協力深化についてオープンにしているとし、中国も軍事的意図を明らかにすべきだと強調。「軍備増強の背後にある政策や意図をオープンにするよう求める。透明性が全ての人の利益になり、秘密主義は悲劇的な誤算のリスクを高めるだけだ」と述べた。
一方、中国を孤立させるのは間違いで、気候変動、パンデミック(世界的大流行)予防、経済安定、核拡散防止などの分野で関与が必要だとした。
だが、英国は安全保障上の利益を守り、中国が国際的な義務違反や人権侵害を行った場合は非難するとも強調した。
外相が毎年マンションハウスで行う演説はさまざまな外交上の課題を挙げるのが通例。しかしクレバリー氏は今回、スーダンからの自国民退避やウクライナに短く言及したものの、演説の大半を中国に割いた。
▽中国、27日に南シナ海で軍事演習 詳細は明らかにせず<ロイター日本語版>2023年4月27日12:09 午前