[ワシントン 11日 ロイター] – バイデン米政権は11日、米電力業界の温室効果ガス排出を大幅に削減する包括的な計画を発表した。米国の二酸化炭素(CO2)排出量の4分の1超を占める発電所からの大気中への排出量を制限するのが柱となり、電力会社は何十億ドルもかかる新設備を導入するか、発電所を停止するかの選択を迫られる。
今回の措置は気候変動対策のために米経済を脱炭素化する取り組みの大きな一歩となる。環境保護団体や科学者はこのような措置が地球温暖化を抑制するために不可欠だと長年主張してきた。一方で化石燃料を産出する州では政府の行き過ぎた規制となり、電力網を不安定にする恐れがあると反発している。
計画では、電力会社に対して発電所からのCO2排出を回収する設備を導入するか、超低排出ガスの水素を燃料として使うように求める。
環境保護局(EPA)は、この計画が実施されれば2028年―42年の間に石炭発電所と新設のガス発電所からのCO2排出量を6億1700万トン削減できると試算。これは1億3700万台の乗用車の年間排出量削減に相当する。
ただ、最終的な規則を策定するにはパブリックコメントを反映させる必要があり、約1年を要するとみられる。
EPAのリーガン長官は「EPAの提案は、すぐに利用できる実績のある技術を利用して炭素汚染を抑制し、電力分野で既に進行している勢いを活用して、よりクリーンな将来に向けて移行するものだ」とのコメントを出した。