ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、広島市中心部の平和記念資料館(原爆資料館)を視察し、岸田文雄首相と会談した後、記者会見に臨んだ。資料館視察について質問を受けると、大きく息をつき、言葉に詰まりながら原爆投下後の広島と故郷の風景を重ね合わせた。
原爆資料館では30分以上にわたり館内を視察。岸田氏と共に、原爆死没者慰霊碑前でそろってこうべを垂れ、哀悼の花を手向けた。黙とうした後、松井一実広島市長の説明に小さくうなずきながら聞き入った。
ゼレンスキー氏は、胸に英語でウクライナと記された黒のトレーナーにカーキ色のカーゴパンツ姿。追悼の意を込めたのか、トレードマークとなったカーキの上下ではなかった。
会見では、各国のメディアが集まる中ゆっくりした口調で「戦争をなくさなくては」と訴え掛けた。冒頭発言後には記者席から拍手が上がった。
「少し疲れているんだ」と質問を聞き返すなど疲労をにじませながらも、質問のために列を作る記者たちに時間の許す限り対応。ブラジルのルラ大統領と会談しなかったことについて「残念か」と問われると、「残念がっているのは向こうでは」と笑顔で冗談を返す場面もあった。
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