[東京 23日 ロイター] – 松野博一官房長官は23日午後の会見で、米国の核抑止力を含む拡大抑止は日本の安全保障にとって不可欠であるとしつつ、核兵器のない世界を目指す取り組みとは矛盾しないとの見解を示した。

主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、核軍縮に焦点を当てた首脳による共同文書・広島ビジョンが公表されたが、その文言の中に核保有国の行動を正当化する文言が入り、核軍縮の方向と矛盾するのではないか、との質問がこの日の会見で出た。

これに対し、松野官房長官は「わが国を取り巻く厳しい安全保障環境や、現実に核兵器が存在していることを踏まえれば、わが国の安全保障にとって核抑止力を含めた米国の共同抑止は不可欠である」と説明。こうした現実を直視して安全保障上の課題に対処しつつ「現実を核兵器のない世界という理想に近づけるべく取り組むことは、決して矛盾するものではないと考えている」と述べた。

その上で広島ビジョンの文言に関しては、現実に核兵器等の脅威が存在することを踏まえ「核兵器が存在する限りにおいて、果たすべき安全保障上の役割について、G7の認識を示すものである」と語り「核兵器のない世界に向けたコミットメントと何ら矛盾するものではない」と述べた。