[1日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリヴィエ・グランシャ氏はロイターとのインタビューで、日銀はインフレ期待を目標の2%にするため超金融緩和政策を維持する必要があるとの見方を示した。
ただ、物価上昇率が予想をオーバーシュートするリスクを警戒し、目標を上回る状態が長期化した場合に政策を引き締める準備をしておく必要があると指摘した。
基調インフレが2%を超え、賃金が上昇し始める中、インフレ期待を中銀目標値に再び固定する「機会が現在ある」と述べた。
ただ、日本がデフレに逆戻りすることはないと国民が確信する必要があるとし、「時間がかかり、一夜にして起こるわけではない」とし、政策引き締めは「時期尚早だ」と述べた。
日銀は現時点で超低金利を維持するのが適切だが、高インフレの抑制に苦慮している他国の中央銀行の経験に留意する必要があると指摘した。
米国と欧州の中央銀行の経験に言及し、「過去2年間の歴史では、一過性のものと思われていたインフレが一過性ではないことが判明した」と説明。「日本でも同じような動きがある可能性がある。そのため警戒する必要があり、インフレが過度に高まった場合に金融政策を引き締める準備をしておくことが必要だ」と述べた。
インフレが高止まりする可能性を踏まえると、インフレリスクが発生した場合に対処する用意があることを日銀は市場に伝える必要があると指摘した。
長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール)を維持しながら金融引き締めを行うことは「非常に難しい」とし、まず長期金利操作政策から離れ、引き締めの必要性が生じたときに短期金利を引き上げる方が安全との見方を示した。