6月17、18日実施の毎日新聞世論調査で支持率が33%に急落した岸田内閣。無党派層に限った内閣支持率を算出したところ、更に厳しく11%だった。岸田文雄首相は2024年秋の自民党総裁選での再選を見据えて衆院解散・総選挙の時期を探るとみられるが、無党派層からの不人気ぶりは解散戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
回答者全体の内閣支持率は5月の前回調査比12ポイントの下落だった。無党派層に限った支持率は15ポイント下落で、下げ幅が全体より大きかった。岸田内閣の無党派層からの支持率はこれまで、閣僚の辞任ドミノに直面した22年12月の12%が最低だったが、今回はこれを更に下回った。全体の支持率の3分の1以下にまで落ち込んだのも初めてだ。
6月調査での政党支持率は自民党29%▽日本維新の会15%▽立憲民主党10%▽共産党6%▽れいわ新選組5%▽公明党4%--など。「支持政党はない」と答えた無党派層は23%で、自民支持層に次ぐ第2の勢力とも言える。
無党派層は6月調査で、マイナンバーカードの利用促進に向けた現行の健康保険証廃止や児童手当の拡充などに「反対」「評価しない」と答えた割合が回答者全体より多かった。岸田内閣の政策全般が不評を買った可能性がある。
首相の長男で首相秘書官だった翔太郎氏による首相公邸での忘年会問題が影響した可能性もある。翔太郎氏の秘書官交代が「遅すぎた」と答えた無党派層は56%で、回答者全体の51%よりやや多かった。
首相は21日に会期末を迎える今国会での衆院解散を見送ったが、ある自民幹部は首相周辺に対し「翔太郎氏の問題が尾を引く恐れがある」との懸念を示していた。この自民幹部は「翔太郎氏のことは理屈の問題ではない」と指摘。「政策面で野党に負けることはないと思うが、有権者の感情を害する問題は制御が難しい」と話していた。
毎日新聞の6月調査で次期衆院選での比例代表の投票先を聞いたところ、無党派層で圧倒的に多かったのは「わからない」の60%で、回答者全体(17%)の3倍以上に達した。無党派層に代表される「浮動票」が国政選挙で一定の重みを持つ中、この層にどのように浸透を図っていくか。首相の世論を見極める力が試されそうだ。【小田中大】