[東京 22日 ロイター] – コスモエネルギーホールディングスが22日に開いた定時株主総会で、取締役会で買収防衛策を発動できるよう承認を求めた議案が可決された。採決は、シティインデックスイレブンスなど旧村上ファンド系の株主らを除く出席株主の過半数の賛同で賛否を決める「マジョリティー・オブ・マイノリティー」(MoM)という異例の方法で行われた。

旧村上ファンド系は、コスモHD株の20%超を保有する大株主。総会終了後、村上氏側はコメントを発表し「株主総会で選ばれた経営陣が自分たちの気に入らない株主の議決権行使を認めないのは、到底許されるものではない」と指摘。経済産業省の「公正な買収の在り方に関する研究会」の指針案に、MoM決議は非常に例外的かつ限定的な場合に限られることに留意しなければならないと書かれている点にも触れ「正当性を欠いた無効の決議」との考えを示した。

総会では、MoM決議について株主から「株主平等の原則に反するのではないか」などの質問が投げ掛けられた。これに対し、山田茂社長は「大規模買い付け行為者から企業価値をどう高めるか具体的に示されない中で株を買い進められると一般の株主が不利益となる。一般株主の意思を確認する」と説明した。

買収防衛策は、旧村上ファンド側が書面で趣旨を説明するなどの事前手続きを行わず株式を買い増した場合に、旧村上ファンド側を除く株主に新株予約権を無償で割り当て、ファンド側の株式保有比率を相対的に引き下げる内容となっている。

買収防衛策についてのMoM決議は、投資会社アジア開発キャピタルが輪転機最大手の東京機械製作所の株式を買い集めた際に用いられたのに続き2例目。東京機械の場合、アジア開発側が買収防衛策の発動差し止めを求めたが、地裁、高裁は差し止めを認めず、最高裁判所もアジア開発側の抗告を棄却した。

総会は午前10時に始まり、約2時間半行われた。出席株主数は104人で前年より63人増だった。

取締役選任については、会社側による6人の選任議案を可決、ファンド側が提案した1人の取締役選任議案は否決された。これに対して、村上氏側は「今後もコスモに対して企業価値、株主価値の向上を粘り強く訴えていく」としている。