[ロンドン 23日 ロイター] – ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏は23日、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切った根拠について、軍上層部が「でっち上げたうそ」によるものと主張した。

ウクライナでの戦争を巡り、プリゴジン氏は軍や国防省を繰り返し批判してきているが、ロシアの「特別軍事作戦」をウクライナの「非武装化、非ナチ化」が目標という政権の説明を今回初めて否定。テレグラムに投稿した動画で、ロシアがウクライナ侵攻を始めた「2月24日に起きたことは日常茶飯事にすぎない。国防省は国民と大統領を欺こうとし、ウクライナからとんでもない侵攻があり、北大西洋条約機構(NATO)全体でロシアを攻撃することを計画していると説明していた」と述べた。

さらに「戦争はショイグ国防相が元帥に昇格するために必要だった。ウクライナを非武装化し、非ナチ化するためには必要ではなかった」と強調。エリート層の利益のためにも戦争は必要だったという見方も示した。

また、ロシアは侵攻に踏み切る前にウクライナのゼレンスキー大統領と協定を締結できたはずだったほか、戦争ではロシアで最も有能とされる部隊を含む何万人もの若い命が不必要に犠牲になったとし、「われわれは自らの血を浴びている。時間は過ぎ去っていくばかりだ」と述べた。

具体的な説明はなかったものの、ロシア軍が自軍の戦闘機を破壊したとも非難。ロシア軍指導部の「悪」を「止めなければならない」とし、「数万人ものロシア軍兵士の命を奪った者たちには罰が課される」とした。

プリゴジン氏はロシア軍に対する行動の呼びかけは「軍事クーデターではなく、正義のための行進だ。われわれの行動は決して軍隊の邪魔をするものではない」と主張。ショイグ国防相がワグネルの兵士の遺体2000体をロシア南部の死体安置所に隠すよう命じたとも非難した。

ロシア国防省はすぐに声明を発表し、プリゴジン氏の発言は「現実に即しておらず、情報を提供することに挑発」とした。

ロシア連邦保安局(FSB)は、プリゴジン氏が武装蜂起を呼びかけているとして、刑事事件として捜査に着手した。

関連情報

▽ロシア当局、ワグネル創設者の捜査開始 武装蜂起呼びかけで=報道<ロイター日本語版>2023年6月24日6:08 午前