[フランクフルト 27日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げた。ユーロ圏の経済情勢は悪化しているが、インフレ抑制に向けた追加利上げの選択肢は温存した。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<カバーすべきことはまだあるか>
カバーすべきことはまだあるのか。現時点ではそうとは言えない。これまでも述べた通り、9月やそれ以降の理事会でカバーしなければならない範囲がどの程度あるのかは、データやデータの評価によって判明する。これまでも述べた通り、月ごとに変化する可能性がある。
<金利が鍵>
「現在のインフレ水準を考えると、現在の状況におけるわれわれの重要な手段は金利だ。金利とQT(量的引き締め)のトレードオフはない。金利が主要な手段だ。
<賃金上昇、利益率、インフレ>
賃金上昇と利益率はインフレの2大要因であり、以前は影響度が大きかった外的要因よりも勝りつつある。利益率の面では、23年第1・四半期に若干の低下が見られた。われわれの予測は、利益率が賃上げ対応に十分な幅があるという事実を前提としている。
<データに依存した意思決定>
われわれはデータに依存する段階に移行している。より多くの情報を取り入れ、それに基づいて利上げを行うか、一時停止するかを決定する。
私が断言できるのは、利下げするつもりはないということだ。しかし一方で、利上げもあり得るし、一時停止もあり得る。というのも、これまで述べてきたように、状況は会合ごとに変化していくからだ。そのことは理事会でも承認されている。
<政策の伝達>
金融政策が力強く伝達され始めていることを確認している。
<バランスシートについて>
(ECBの)バランスシートは、6月に予想以上の貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)償還があったことや、資産の買い入れだけでなく再投資も停止したことにより縮小した。
バランスシートが縮小したことは明らかに認める。しかし、現時点ではこれ以上の縮小については議論していない。
<インフレ目標>
われわれはフォワードガイダンスの領域にはいないが、中期的にインフレ率を2%に戻すという決意に強く根ざしている。
<決定は全会一致>
決定は全会一致だった。この決定はインフレ率を目標に近づけるという一点に集約される。これに向けた全会一致の決意がある。
<インフレの上振れリスク>
黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)からのロシアの一方的な離脱に関連する、エネルギーと食料のコストに再び上昇圧力がかかる可能性などが、インフレの上振れリスクに含まれる。現在進行中の危機的な気候も、食料品価格の予想を超える上昇につながる可能性がある。
<インフレ長期的に高止まりの公算>
インフレ率の低下は続いているが、長すぎる期間にわたり、高すぎる水準にとどまる公算が大きい。
<全体的に高インフレ>
急速なエネルギー価格の上昇が経済全体の物価に持続的な影響を及ぼしていることもあり、基調インフレは全体として高水準にとどまっている。
<内需がインフレをけん引>
インフレ要因が変化している。インフレの外部要因が緩和しつつある一方で、賃金の上昇や堅調な利益率などによる域内の価格圧力がインフレの重要な要因になりつつある。
<経済>
短期的には景気は軟調に推移すると予想される。 長期的には、インフレ低下、所得増、供給環境の改善で景気回復が支えられる。
<見通しは悪化>
ユーロ圏経済の短期的な見通しは、主に内需の減退により悪化した。