光を使った独自方式の「光量子コンピューター」の試作機を開発したと、東京大の武田俊太郎准教授(量子光学)らのチームが発表した。マシンの大きさはたたみ2畳ほどで、計算が複雑になっても大きさを変えずに済むため、コンパクトなマシンを実現できるという。
武田・東京大准教授らが開発した光量子コンピューター試作機
光量子コンピューターは計算を担う素子「量子ビット」として、多数の光子(光の粒)でできた「光パルス」を使う。チームはこの光パルスが周回する2重のループ状の回路を作り、三つの光パルスで計算ができることを示した。
原理上、光パルスの数を増やせば大規模な計算が可能となる。その際、ループを光ファイバーで作って巻き取っておけば、マシンの大きさはさほど変わらないという。
光量子コンピューターは、超伝導状態の物質などを利用する他の方式と異なり、室温で動かせるため、コストの抑制につながると期待されている。論文は科学誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に掲載された。
川畑史郎・産業技術総合研究所副センター長の話「光をループで周回させればマシンのサイズを大きくしなくて済むという『コロンブスの卵』のような発想だ。量子コンピューターの実用化に向けた大切な節目といえる」