- 中国が株式支援策、FRB議長の思惑通り、ゼロ・デー・オプション
- S&P500種が映す投資家の迷い、中国恒大の上期決算
先週末のジャクソンホール会合で、インフレを目標の2%に戻すには労働市場の減速とトレンドを下回る経済成長の期間が必要との認識を示したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長。米国では今週、個人消費支出(PCE)価格指数や雇用統計など、重要指標の発表が相次ぎます。8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が約17万人増に減速し、直近3カ月の平均では2021年初め以降、最も小幅な伸びになる見通しです。パウエル議長はこれまで、人口の増加ペースを考慮すれば雇用者数が月間10万人程度の伸びでよいとの考えを示しています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
投資家に秋波
中国当局は「資本市場の活性化と投資家信頼感の改善」に向け、2008年以来となる株式取引の印紙税引き下げを決めた。28日以降、0.1%から0.05%に引き下げられる。一方、中国証券監督管理委員会(証監会)は27日、新規株式公開(IPO)のペースを一時的に減速させる方針を発表。一部企業については借り換えの頻度と規模を制限するとも明らかにしたが、不動産開発業者は適用除外になるという。香港も株式市場の流動性を高めるためタスクフォースを設置する。
思惑通り
パウエルFRB議長のジャクソンホール会合での発言を受け、債券相場は彼の思惑通り、連邦準備制度の次のステップについて確信を欠く状態となった。それは先物のポジショニングが割れていることでも一目瞭然のシナリオであり、経済データの進展に応じて、世界最大の債券市場を動揺させる可能性を心配することなく、今後数カ月の間に政策を速やかに調整する自由度をパウエル議長と同僚らに与える。
欧州上陸
ウォール街に旋風を巻き起こした満期24時間未満のオプション「ゼロ・デー・オプション(ゼロDTE=ゼロ・デー・トゥー・エクスパイレーション)」が今週、欧州市場に上陸する。ドイツ取引所のユーレックスは28日から、ユーロ・ストックス50指数(証券コード:SX5E)に連動するゼロDTEを上場する。欧州の投資家は全取引日においてゼロDTEを売買できるようになる。欧州ではゼロDTEの導入による市場活性化が期待されており、どれほどの需要を集めるかが注目される。
投資家の迷い
S&P500種株価指数は8月に入ってからの19営業日で2日続伸となった日がまだ一度もない。人工知能(AI)ブームの火付け役である米半導体メーカー、エヌビディアが好調な業績見通しを示しても、株高のエンジンが再び点火することはなかった。このまま続伸なく8月を終えれば、2002年4月以来のことになる。当時はドット・コム・バブルの崩壊と01年9月11日の同時多発テロを受けて弱気相場に入っていた時期に当たる。足元の取引パターンは、投資家が確信を持てないでいる状況を映し出す。
330億元の赤字
経営危機に陥っている中国の不動産開発会社、中国恒大集団が発表した上期(6月末まで)決算は株主帰属の損失が330億元(約6600億円)に上った。同社は過去2年も合計5820億元の赤字を計上している。株式取引の再開を目指すとともに、海外投資家との債務再編協議を続ける構えだ。中国恒大はオフショア債権者との積極的な意思疎通を維持しており、できる限り早期に債務再編計画への十分な承認が得られるよう目指すと説明した。
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