高市総理の記者会見を見た。総選挙大勝を受けて「責任ある積極財政」への転換など、国論を二分する政策転換の先頭に立つと改めて宣言した。取り立てて注目すべき発言もなかった。強いて挙げれば食料品のゼロ税率をスピード感を持って決着させたいと発言したことぐらいか。選挙戦中に主要メディアは関連発言が減ったことを受け、「見送るのでは」との印象操作を盛んに行なっていた。これへの見せしめかもしれない。それ以上にテレビや新聞は相変わらず、大勝の裏に潜む右傾化懸念をバカの一つ覚えのように繰り返している。反省のないメディアだ。公共の電波や特例的に消費税を減免されている特権を返上すべきではないか。個人的にはこれまで財政赤字より深刻なのは、投資をしない企業をはじめ、とてつもない規模の含み益を抱える政府の「過剰貯蓄だ」と繰り返し主張してきた。今朝BloombergはGoogleの親会社アルファベットが9日に、ドル建て社債で200億ドル(約3兆1200億円)を調達するとの記事を配信している。
日本でもU Sスチールを買収した日鉄など巨額投資に乗り出す大企業が少しずつ増えている。問題はメディアや政党だ。中道改革連合大敗の原因は、個人的には「中道のうねり」と称して高市政権の右傾化を批判したことではないかと考えている。筆者は自分の立ち位置を中道のど真ん中だと思っている。だが、中革連に投票しようとは思わなかった。この人たちは貯蓄過剰の問題点に思いを致すことはまずないだろう。主要メディアも同根だ。高市政権が非核3原則の見直しに取り組むことを受けて、右傾化の証と強調している。大手メディアの政治部出身のコメンテーターにこの傾向が強い。中国が高市政権で軍国主義が復活すると喧伝しているのに似ている。何を考えているのだろうか。日本が強い経済を取り戻すことに反対しているのだろうか。右傾化と考えている人たちは将来の日本をどこに誘導しようと考えているのだろうか。高市政権大勝の裏でひろがる疑問だ。筆者は高市ビジョンについて「普通の国」への転換が目的とみる。
昨日配信されたBloombergの記事にも同じような指摘があった。同社のコラムニスト・リーディ氏の署名記事だ。「高市氏が何者であるかを問う前に、まず何者ではないかを明確にしておく必要がある。高市氏を『超保守』や『超国家主義者』と位置付ける報道は依然として多いが、こうしたレッテルは理解を助けるどころか、混乱を招く」。思わずその通りだと納得した。さらに続く。「高市氏が保守であるのは確かだが、急進的だとする見方は的外れだ。強い経済と健全な防衛スタンスという同氏の政策は、多くの国では明確に中道に位置付けられる」。外国人の視点の方が国際的にみて普遍性があるように見える。政治も経済も主要メディアも、日本の指導者の大半は極左とは言わないがリベラリストであることは間違いない。高市氏の人となりはまったく知らないが、過剰貯蓄から投資大国を目指す同氏のビジョンは、国際的に見れば普通の国への転換に過ぎない。野党が消滅した現在、高市氏の最大の論敵は自民党内のエセ中道派だろう。自民党が大勝しても政局の先行きは依然として不透明だ。
