
中国が北西部甘粛省玉門の砂漠地帯にある射爆場で、米軍の三沢基地(青森県)や嘉手納基地(沖縄県)にある「バンカー」と呼ばれる戦闘機を守るための掩体壕(えんたいごう)に類似した目標物を作り、無人機による攻撃訓練を行った可能性があることが、シンクタンク国家基本問題研究所(国基研、櫻井よしこ理事長)が衛星写真を分析した結果、明らかになった。
米軍基地の「バンカー」に模した構造物は昨年2月に工事が確認され同4月に完成。21日までに試験か訓練が行われ、30日までに撤去された。

「バンカー」にはミサイルによる実射で確認される着弾痕がなく、出入り口を正面から圧迫したような形状になっていることから、無人機を「バンカー」の正面に突入させていた可能性が高い。
同形状のバンカーは1月にも同じ場所に設置され、2月に撤去されたことから試験か訓練を繰り返し行ったもようだ。別の場所では嘉手納基地配備の早期警戒管制機(AWACS)の形状を模した疑似飛行機を置き、黒シートをかぶせた。
昨年11月11日の段階ではシートがかぶったままだったが、19日には着弾痕は確認されずに黒シートが破れ、機体の一部とみられる破片が散乱していた。大きな爆発を伴わない無人機などによる突撃か爆発実験を行った可能性が高い。
嘉手納基地は台湾に近く米軍の戦闘機が迅速に展開できる拠点である。三沢基地ではF16戦闘機から最新鋭のステルス戦闘機F35Aへの機種転換が進められている。3月に4機が到着し、最終的には48機が常駐する計画で、アジアにおける米空軍の最新鋭ステルス機の一大拠点となる。
衛星写真を分析した国基研の中川真紀研究員は「空軍基地を模した射爆場への実射はミサイルが主だったが、昨年から無人機などの『新領域戦力』を使用した可能性のある事象が確認されるようになった」と指摘。「中国軍では本年開始の第15次5カ年計画で明示された『無人知能化戦力整備の加速』に従い、無人機の開発や部隊配備を着々と進めている。『新領域戦力』の増強が加速する可能性があり、対策は急務だ」とも語った。(特別記者 有元隆志)