【ワシントン=阿部真司】米国のトランプ大統領が戦闘終結に向けたイランとの協議を巡り、苦しい立場に立たされている。焦点の核問題でイランは強硬姿勢を崩しておらず、米側が譲歩を余儀なくされている模様だ。国内では身内の与党・共和党からも批判が相次いでおり、手詰まり感が漂っている。
18年離脱の合意 意識
トランプ氏の発言はこの数日間、揺れ動いた。合意の見通しを巡っては、25日に「全ての人にとって『素晴らしい合意』となるか、さもなければ『合意なし』となるだけだ」とSNSに投稿し、「大部分が交渉済み」との自信を示していた23日の発言を翻した。
米イランの協議の合意案は、ホルムズ海峡の開放を優先し、核問題などの協議を先送りする内容とみられる。これを受けて、米国はイランの制裁解除や資産凍結解除に応じる方向とされている。
この内容が報じられると、与党・共和党内からも異論が噴出した。トランプ氏に近いリンゼー・グラハム上院議員は23日、SNSへの投稿で、イランが攻撃能力を持ったまま合意すれば「イスラエルにとって悪夢だ」と批判。トム・ティリス上院議員は24日のCNNの番組で、ホルムズ海峡の開放を巡るイランの約束は「疑わしい」と語った。

トランプ氏が強く意識するのが、オバマ政権が交わし、2018年の自身の第1次政権時に一方的に離脱した核合意だ。ウラン濃縮を制限する代わりに制裁を一部解除する内容で、トランプ氏はこの合意がイランの核兵器開発につながったと批判してきた。トランプ氏は24日、SNSで「最悪の合意の一つがオバマによる核合意だ。トランプ政権の交渉は全く逆だ」と強気の構えを示した。
トランプ氏が交渉での成功を示すには、オバマ元大統領が主導した核合意を上回る内容でイランと合意する必要がある。だが、イランへの軍事圧力が「イランの姿勢を決定的に変えるには至らなかった」(米紙ニューヨーク・タイムズ)とされ、打開策は見えていない。
トランプ氏は24日以降、自身が第1次政権時に仲介したイスラエルとアラブ・イスラム諸国の国交正常化の枠組み「アブラハム合意」を持ち出し、枠組み拡大に意欲を示した。
だが、関係国の反応は冷ややかだ。米CNNは「イランとの難航する交渉から目をそらさせ、輝かしい勝利を目指しているかのように見せかけている」と指摘した。