
政府は21日、年内の改定を目指す国家安全保障戦略など「安保3文書」で、防衛力強化の理念として「新しい守り方」を打ち出す方向で調整に入った。人工知能(AI)やドローン(無人機)など先端技術を用いる「新しい戦い方」が国際的に広がる中、日本独自の構想を掲げる。軍事色の強い表現を避け、防衛力整備への国民の理解を広げる狙いもある。
ウクライナ、イラン…戦争の変化
複数の政府関係者が明らかにした。政府が8日に開いた3文書改定の有識者会議では、複数の委員から「新しい守り方」と表現することを支持する意見が出た。小泉進次郎防衛相は14日の講演で「専守防衛を引き継ぐため、『新しい守り方』を構想するのは他国より難しい作業が求められる」と言及した。

背景には戦争の様相の変化がある。ロシアのウクライナ侵略や米国の対イラン軍事作戦では、無人機やAIが本格投入され、戦況を大きく左右した。日本の対応は遅れている。
このため、今回の3文書では「新しい守り方」の確立に向けて、長距離攻撃も可能な無人機導入や、部隊指揮へのAI活用を推進する。先端技術を積極的に取り入れ、有事の人的消耗を抑制する。攻撃を受けても耐えられるよう基地の抗堪(こうたん)性強化にも取り組む。
反撃能力に組み合わせ抑止力維持
政府は相手国が攻撃に着手した場合、長射程ミサイルや長距離無人機、垂直発射装置(VLS)搭載潜水艦で遠方から攻撃を阻止できる態勢構築も目指す。あくまで専守防衛は維持しながら、反撃能力(敵基地攻撃能力)や無人機、AIを組み合わせ、自衛隊の隊員不足が続く中でも抑止力を維持したい考えだ。
政府内には防衛力強化への国民理解を重視する向きもある。政府・与党の議論ではこれまで「新しい戦い方」と表現してきたが、「攻撃的な印象を与えかねない」(防衛省幹部)、「不要な反発を招く」(有識者会議委員)といった懸念の声が出ていた。(竹之内秀介)