【モスクワ時事】ウクライナ警察などによると、首都キエフで29日、ロシア出身のジャーナリスト、アルカジー・バブチェンコ氏(41)が射殺された。プーチン政権に批判的だったバブチェンコ氏は脅迫を受け、昨年ロシアからウクライナに移住していた。事件を受けてロシアへの国際的非難が高まる可能性がある。
警察などによると、バブチェンコ氏が自宅アパートで血まみれで倒れているのを、銃声を聞いた妻が発見した。背後から撃たれたとみられ、病院搬送中に死亡した。
バブチェンコ氏はロシアの複数のメディアで戦場ジャーナリストとして活動。2006年に射殺された女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんが所属した独立系紙「ノーバヤ・ガゼータ」にも寄稿していた。ウクライナ東部紛争やシリア内戦をめぐってプーチン政権を非難しており、昨年2月に「家族などに対する脅迫が繰り返されている」としてロシアを出国後、チェコなどを経てウクライナに住んでいた。
一方、ロシア外務省は声明で、「ウクライナでは血にまみれた犯罪と処罰逃れが日常になっている」と強調し、事件の責任はウクライナ側にあるとする立場を示した。