官民ファンド、産業革新投資機構の田中正明社長や坂根正弘取締役会議長(コマツ相談役)ら民間出身の取締役9人全員が辞任する意向を固めたことが9日、分かった。所管する経済産業省と田中氏が報酬水準や国による機構の投資判断への関与を巡り対立、関係修復が不可能と判断したとみられる。田中氏が10日に記者会見する方針だ。「産業競争力の強化」に向け9月に組織を一新したばかりの機構は、わずか3カ月足らずで投資活動が事実上、休止状態に陥る。
機構と経産省は経営陣の年収を最大1億円超にする案でいったん合意。だが「国民が納得する相場観がある。高すぎる」(世耕弘成経産相)などの理由で経産省が撤回し、12月3日に報酬案を不認可とした。
事前の協議で田中氏は「グローバル人材にふさわしい水準」を強く主張。経産省は機構の運営の不透明さを挙げて、政府の関与の強化や予算の減額を迫り、両者の関係悪化は決定的となった。