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英国のメイ首相=3月22日、ブリュッセル、下司佳代子撮影

 英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐり、メイ首相は2日夕(日本時間3日未明)、EUとの合意がないままEUを抜けるのを避けるため、12日に予定されている離脱の再延期をEUに要請する方針を明らかにした。離脱の手法などを定めた政府案への議会の支持を得るため、近く最大野党のコービン労働党首と会い、協力を仰ぐという。

 メイ氏は、朝から7時間におよぶ閣議を終えた後、緊急にテレビ演説をした。「EUとの合意がある上で離脱するのが一番だ。そのためには、最小限の離脱延期が必要だ」と述べた。

 メイ氏は、コービン氏との協議が決裂した場合には、複数の離脱プランを議会の投票にかけ、多数の支持を集めた案に従う考えも示した。こうした作業は、5月23~26日の欧州議会選に参加せずに済むよう、前日の22日までに終えたいという。

 コービン氏は「首相が議会の見解を受け入れ、歩み寄る姿勢を見せたことを歓迎する」と述べ、協議に応じる構えだ。

 ただ、両者の意見の隔たりは大きい。EUの関税同盟に残るなど、離脱後もEUと緊密な関係を保ちたい労働党に対し、与党・保守党内では強硬離脱派が幅をきかせる。労働党との協力には早くも反発の声が上がっている。

 EUが再延期に応じるかも不透明だ。英国のEU離脱は当初、3月29日の予定だった。離脱手法をめぐって英国内の議論がまとまらず、EUは4月12日までの延期を認めた経緯がある。

 EUは10日に緊急の首脳会議を開き、英国の考えを確認した上で対応を協議する。英国は、まずは同日までに議会が支持する離脱案をまとめる必要がある。(ロンドン=下司佳代子)