【ロンドン時事】英議会下院(定数650)は1日、政府の欧州連合(EU)離脱案の代替策を探る投票を行ったが、EUの根幹を成す「関税同盟」への事実上の残留など4件の提案が全て反対多数となった。政府案も先週の採決で三たび否決されており、多数の支持を得られるプランが見つからない深刻な状況が浮き彫りとなっている。
先週行われた初回の投票でも、全ての代案で反対が多数を占めていた。
英国の離脱期限は当初予定の3月29日から今月12日に延期された。EUは10日に首脳会議を開き、12日に「合意なき離脱」を受け入れるか、離脱を再延期するか、英国の意見を聴いた上で対応を協議する。
投票にかけられたのは(1)関税同盟(2)「ノルウェー・プラス」と呼ばれるEUとの経済関係優先策(3)離脱に関する国民投票の再実施(4)「合意なき離脱」阻止のための離脱中止-の4提案。
メイ首相が自らの離脱案の議会通過に執念を燃やし、代案に賛成しないよう与党・保守党議員への締め付けを強めた上、ノルウェー派と再国民投票派がつぶし合いを演じるなどした結果、いずれも反対が賛成を上回った。有力視された関税同盟案は賛成多数にあと一歩のところまで迫った。
最大野党・労働党のコービン党首は「3日に代案を再検討する機会を持つべきだ」と訴えた。メイ首相は2日に閣議を開き、政府案の4度目の採決を週内に提案することを視野に、今後の方針を検討する。