日本とアフリカ諸国の首脳が経済発展のあり方を話し合う第7回アフリカ開発会議(TICAD)が28日、横浜市で開幕した。安倍晋三首相は基調演説で、日本政府として今後3年間で200億ドル(約2兆1000億円)を上回る民間投資の実現を後押しする考えを表明した。
TICADは3年に1回の開催で、今回はアフリカ54カ国のうち過去最高の42カ国の首脳級が参加した。最終日の30日にアフリカ支援策の「横浜宣言」をまとめる。
首相は演説で直近3年間で日本からアフリカへの民間投資が200億ドルに達したと強調したうえで「この先、日々新たに塗り替えられるよう日本政府は全力を尽くす」と訴えた。
首相は民間投資後押しの具体策として、政府系の日本貿易保険(NEXI)がプロジェクト融資などに100%の貿易保険を適用する枠組みを提起した。「日本企業のアフリカ進出を助けるため、あらん限りの策を講じる」と力説した。
現地の人材育成を支援する「ABEイニシアチブ3.0」も打ち出した。日本への留学やインターンを促進し、今後6年間で3000人の産業人材の育成をめざす。地元企業の工場長などの現場指導者を想定する。民間が投資しやすい環境を整えるため、保健衛生や平和安定の分野でも協力を強める。
首相は全ての人が適切に医療・保健サービスを受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)について「アフリカで新たに300万人にUHCを及ぼすことを約束する」と表明した。現地で展開する国連平和維持活動(PKO)や各国の行政・司法などの制度構築も支援する。
自身が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想での連携を呼びかけた。「私たちがともに歩むその先には、国連安保理改革が共同の課題として解決を待っている」と指摘。国連安全保障理事会の日本の常任理事国入りに協力を求めた。