1日、中国・北京の建国70周年記念軍事パレードで公開された新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」(EPA時事)
1日、中国・北京の建国70周年記念軍事パレードで公開された新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」(EPA時事)

 【北京時事】中国の習近平国家主席(中央軍事委員会主席)は1日に実施した建国70周年記念の軍事パレードで、米国本土を射程に収めるとされる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」を公開し、米国に対する核抑止力を誇示した。将来の台湾侵攻に向けて「米軍の介入を封じる意図」(外交筋)が読み取れ、米国の同盟国である日本にとってさらに脅威が高まった。

中国軍、未知数の実戦能力=軍事パレードで兵器誇示

 習氏は演説で、台湾問題について「平和統一方針を堅持する。中台関係の平和発展を進める」と述べた。一方で、「いかなる勢力も偉大な祖国の地位を揺るがすことはできない」と強調。軍事パレードでは、習指導部が進めてきた軍改革の成果と最新兵器を披露し、米軍の介入を阻む「接近阻止・領域拒否(A2AD)」能力の向上を印象付けた。

 最も関心を集めた東風41は最大射程1万2000キロ超と推定。軍事パレードに16基が登場し、実戦配備済みであることが確認された。また、パレードで初公開された中距離弾道ミサイル「東風17」と爆撃機「H6N」は、アジア太平洋で活動する米軍を脅かすものだ。

1日、北京の建国70周年軍事パレードに登場した新型爆撃機「H6N」=中国中央テレビのウェブサイトより
1日、北京の建国70周年軍事パレードに登場した新型爆撃機「H6N」=中国中央テレビのウェブサイトより

 東風17は、音速の5倍以上で低空を滑空する極超音速兵器を搭載。弾道軌道で飛行しないため、既存のミサイル迎撃システムでは防御できないとされる。9月17日に公表された米議会調査局報告書によると、東風17の射程は1600~2400キロ程度。在日米軍基地、台湾、東南アジアが射程に入る。

 H6Nは近年日本周辺を頻繁に飛行するH6Kの改良型。対艦弾道ミサイル「東風21D」(推定射程1500キロ以上)が搭載可能という見方が出ている。H6Nは空中給油も可能とみられ、西太平洋の広範囲で米軍を排除しようとする狙いがうかがえる。

 ただ、中国の兵器が実戦で性能を発揮できるかどうかは確かではない。台湾侵攻の詰めとなる上陸作戦能力はまだ途上。中国軍は2017年から海軍陸戦隊(海兵隊)を急速に増員し、9月25日には初の強襲揚陸艦が進水した。しかし、陸戦隊員の練度や最新兵器の配備は組織の拡大に追い付いていないもようだ。