村田製作所の村田恒夫会長兼社長は、高機能スマートフォンに使われる樹脂多層基板メトロサークについて、2019年から米アップル以外にも供給先を広げたことを明らかにした。
村田社長は16日のインタビューで、新たに供給を開始したのは「アジアの複数のスマホメーカー」だとした上で、次世代通信規格(5G)をはじめスマホの高速通信化を背景に需要は強く、生産体制も「非常に落ち着いた状態で、拡大できるレベルにきている」と述べた。メトロサークの売上高は既に1000億円を超えたとしており、今後かなり大きな規模の事業になるという。
村田製はアップルの「iPhone(アイフォーン)」に製品を供給している。ブルームバーグのデータによれば、韓国のサムスン電子や台湾の鴻海精密工業とも取引がある。
メトロサークは折り曲げが可能なため、狭い場所に複雑な電子回路を敷き詰めるのに適しており、高機能スマホに欠かせない。村田製は供給先をアップル以外にも拡大することで、収益源の多様化と安定化を図る。
メトロサークを含むモジュールの4-6月期の売上高は952億円と前年同期に比べ1割伸び、構成比も約27%を占める。村田製は次世代通信規格(5G)や先進運転支援システム(ADAS)の普及を視野に、スマホや自動車向けのコンデンサーやモジュールの開発・製造を強化している。
2022年3月期までの中期経営計画では、売上高を2兆円、営業利益率を17%以上に引き上げる目標を掲げる。19年3月期の売上高は1兆5750億円だった。