労働組合の中央組織・連合が6日、定期大会を開いた。3期6年会長を務めた神津里季生氏(65)が退任し、副会長だった芳野友子氏(55)が後任の会長に正式に就いた。連合の結成から32年で女性として初、中小企業の労組でつくる産業別組織の出身者としても初めての会長になった。
神津氏はあいさつで、会長に就く前の事務局長だった2013年の頃から組織の拡大をめざし、加盟組合員を700万人台に回復させた実績を強調。「労組を縁遠く思う人にも自分たちのツールだと意識してほしい」と呼びかけた。
また、コロナ禍で影響を大きく受けたフリーランスの人たちの共済制度などの働く環境整備に取り組んだことにも触れながら、「連合がすべての働く仲間とともに『必ずそばにいる存在』となっていくことが問われている」と強調した。
神津氏は15年に会長に就き、連合の発信力強化に努めた。だが、安倍政権が賃上げをデフレ脱却のカギと位置づけ、首相自らが経済団体トップに賃上げを要請したり、最低賃金の引き上げを主導したりしたこともあって、なかなか存在感を発揮できなかった。
17年には支持する民進党(旧民主党)が、希望の党との合流騒動を経て立憲民主党と国民民主党に分裂。いまも傘下の産別によって支持政党が割れており、その調整は新執行部に引き継がれることになった。
芳野氏は中小企業の労組でつくる産別JAMの出身だ。連合の新執行部は、事務局長に日本教職員組合中央執行委員長の清水秀行氏(62)、会長代行にUAゼンセン会長の松浦昭彦氏(59)を選出。会長代行の逢見直人氏、事務局長の相原康伸氏は退任した。会長代行の川本淳氏は留任する。
松野博一官房長官は6日の記者会見で、芳野氏の会長就任について「ジェンダー平等、多様性の推進などの取り組みを積極的に行われてきたとうかがっており、引き続き活躍されることを期待する」と話した。(藤崎麻里)