【ワシントン時事】日米欧の先進7カ国(G7)は11日、ウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加経済制裁を発表した。首脳声明で「経済や国際金融システムからロシアをさらに孤立させる」と強調するとともに、貿易優遇措置である「最恵国待遇」を撤回して輸入品に高関税を課す道を開くと表明した。ロシアの主要銀行への金融制裁や原油輸入禁止に続いて「対ロ包囲網」を強化する狙いだ。

ロシア側が経営権取得も 外資撤退なら―プーチン大統領

 バイデン米大統領は同日の演説で「プーチン(ロシア大統領)を追い詰めるために新たな措置を講じる」と訴え、ロシアに対して世界貿易機関(WTO)協定に基づく最恵国待遇を取り消す方針を打ち出した。米議会で必要な手続きを進めて、北朝鮮に対する関税並みに大幅に税率を引き上げる構えだ。

 米国の動きに呼応し、G7は首脳声明で「できるだけ早く追加措置を講じる」と明言した。

 G7首脳声明に盛り込まれた追加制裁は、(1)重要製品に関するロシアの最恵国待遇の地位否定(2)国際通貨基金(IMF)や世界銀行など主要国際金融機関による対ロ融資を防ぐ(3)プーチン氏を支える政府関係者や新興財閥(オリガルヒ)によるデジタル資産の活用阻止―などが柱となる。

 ロシアは2012年にWTOに加盟した。米国ではロシアからの輸入品への関税は平均3%にとどまるが、最恵国待遇を撤回すれば、敵対国と位置付ける北朝鮮やキューバに準じて30%を超える高関税を課すこともできる。G7のうち既にカナダが撤回を発表済みで、ロシアからの輸入品に35%の関税を課す方針を示している。