政府・与党は、岸田首相が意欲を示している税収増の還元策に関し、来年度に限り、所得税などを定額で1人あたり4万円減税するとともに、低所得世帯向けに1世帯あたり7万円程度を給付する案を軸に具体策の調整に入った。
衆院本会議で立憲民主党・泉代表の代表質問を聞く(右から)岸田首相、鈴木財務相(24日午後、国会で)=源幸正倫撮影
減税は、納税者本人に加え、扶養家族を対象とすることも検討する。家族3人を扶養している場合、計16万円の減税となる。所得税と住民税の減税は3・5兆円規模、給付を合わせた総額は5兆円規模に上る見通しだ。
給付金の対象は、住民税の非課税世帯とすることが有力となっている。政府は今年3月に策定した物価高対策でも、約5000億円を投じ、住民税非課税世帯などに3万円を目安とした給付金の支給を決めた。
首相は24日の衆院代表質問の答弁で還元策について、「所得税減税を含め、早急に検討を進めていく」と強調した。26日の政府与党政策懇談会で正式に具体化を指示し、11月2日に策定する予定の経済対策に盛り込む考えだが、自民党内には減税に慎重論があり、調整に手間取る可能性もある。
政府は、税制改正関連法案を来年1月に召集される通常国会に提出し、3月末までの成立を目指す。4月頃に給付金の支給、夏頃までに減税を実施する計画を立てている。
首相は24日のテレビ東京の番組で「来年には物価高に負けない賃上げを実現したい。それまでの間、しっかり支えるための還元を考えたい」と述べ、所得税減税の期間は1年が軸になるとの認識を示した。