海洋政策の司令塔機能を強化する海洋基本法改正案の今国会提出が、見送られる見通しとなった。海洋は高市内閣が掲げる「戦略17分野」の一つで、自民党を中心に超党派の議員が今国会での法改正を目指していたが、終盤国会の与野党対立のあおりを受けた。

 改正案は、内閣府総合海洋政策推進事務局の権限強化が柱だ。省庁間の「総合調整」にとどまる事務局の所掌事務に、「海洋開発等重点施策の推進」を追加する。これにより、予算を伴う事業を事務局自ら執行することが可能になる。

 自民は2024年に法案の党内手続きを終えており、超党派の議員連盟「海洋基本法戦略研究会」も同年に法案概要を了承済みだ。今年6月には、自民が「今国会での早期成立」を明記した提言を高市首相に手交し、改正案提出に向けて野党側と調整を進めていたが、国会情勢を踏まえて最終的に断念する方向となった。

 高市内閣は重要鉱物など海底資源の開発を戦略分野と位置づけ、大規模な官民投資を計画している。東京都・南鳥島沖で進むレアアース(希土類)泥の開発は、経済産業省や文部科学省など省庁横断のプロジェクトで、司令塔機能の強化を通じて開発を一層加速させたい考えだ。安全保障上も海洋政策の重要性は増しており、自民は秋の臨時国会以降、早期の法整備を目指す。