17日のニュースを見て、私は大きな衝撃を受けた。ゼレンスキー大統領が、対ロシア戦において戦況を優位に転換させた最大の功労者、ミハイロ・フェドロフ国防相を「内閣改造」の名の下に解任したからだ。この決定を受け、ウクライナ国内では大規模な抗議デモが発生している。

解任の理由についてAIに尋ねたところ、「単なる人事異動ではなく、『軍の近代化を進める改革派』と『従来型の軍指揮部』との対立があり、ゼレンスキー大統領が後者を選択したという見方が最も有力」との回答を得た。

人事には様々な側面があり、拙速な結論は避けるべきだという自覚はある。しかし、これまでウクライナを支援してきた私にとって、このニュースは大きな落胆をもたらした。ゼレンスキー氏は、最大の功労者を退け、旧態依然とした指揮系統を重視するシルスキー総司令官を選んだことになるからだ。

ウクライナ政権幹部には以前から贈収賄の疑念が付きまとっている。これでは、側近を重用するプーチン大統領や、気に入らない軍幹部を次々と更迭する習近平総書記と同類ではないか。35歳のフェドロフ氏は、軍のみならず国家全体の近代化を推進してきた改革派の旗手である。デモに参加した市民が「フェドロフ復帰、シルスキー更迭」と声を上げるのも無理はない。

フェドロフ氏の実績は顕著だ。①ドローン戦の飛躍的な強化、②AIの軍事利用、③調達改革の推進、④民間IT企業との連携強化などである。これを見れば、守旧的な軍幹部と衝突するのは、ある意味で「必然」だったのかもしれない。

一方、シルスキー総司令官は「従来型の軍運用」と「既存の指揮系統」を重視しており、フェドロフ氏と真正面から対立していた。ゼレンスキー氏は会見で、「軍と国防省の一体性が必要であり、政府と法執行機関の刷新を図る」と強調したが、その結果が「首相・国防相の交代、治安部門の刷新」という事態を招いた。

しかし、この判断は、ウクライナがロシアに勝利しつつあるという時代の流れに逆行するように見える。ゼレンスキー氏は、政治指導者が陥りやすい「陥穽(かんせい)」に自ら足を踏み入れたのではないか。図らずも、自身が守旧派の側に属していることを証明してしまったと言える。

この先、ウクライナはどうなるのか。戦況を一変させたドローン・AI中心の近代化路線は維持されるのか。大規模デモに示される「反ゼレンスキー」の動きは収束するのか。欧米諸国はこの事態をどう受け止めるのか。個人的にはウクライナの将来に対する期待や希望が、一気にしぼんでいくのを感じる。まさに、ゼレンスキー氏の「化けの皮が剥がされた」と言っても過言ではない。

唯一の救いは、即座に行動を起こしたウクライナ市民による大規模な抗議デモの存在だ。ゼレンスキー内閣はこの民意とどう向き合うのか。裏でほくそ笑むプーチン氏の姿が目に浮かぶ。

それにしても、なぜ世の中には判断を誤るトップが多いのか。時代の流れを読めない政治家、経営者、経済学者、評論家、メディアはもはや不要である。一人の旧態依然とした政治家の誤った判断で、時代の潮流が押し戻されないことを切に祈る。