米国で開かれているG20(財務相・中央銀行総裁会議)の合間をぬって、ベッセント米財務長官がロイターのインタビューに応じた。この中で同長官は日本の財政政策を巡って以下のように述べている。「デフレからの脱却を目指し、大規模な金融緩和や財政による需要刺激策に注力した安倍晋三元首相の政策は『成功』し、現在は労働市場の規制緩和など政府の関与を減らす「タカイチノミクス」に移行した」と。
同通信によると、この発言をめぐって高市政権関係者の間で様々な解釈が行われているという。「複数の日本政府関係者によると、米国はこれまでも日本に対し、高市氏の財政政策への懸念を伝えてきた」と指摘。関係者の一人は「消費減税なんてやめてしまえ、というのが米国の一貫した本音だ」と告白する。
これが事実なら国会で新たな論争を巻き起こすことになる。この関係者が財政健全派だとすえば、高市政権にとってが新たな懸念材料だろう。別の関係者は「高市政権は過度に財政拡張的なことをするなというメッセージだ」と分析しているようだ。これもある意味でセンシティブな分析だ。
一方でロイターは別の記事で、ベッセント氏が世界的に「投資不足」を指摘したと伝えていると同時に、ウォーシュFRB議長は「投資が世界的に急増しており、これが成長を後押しし、投資機会の不足で資本が滞留していた過去の『貯蓄過剰』を逆転させている」との認識を示したと紹介している。
ベッセント氏とウォーシュ氏は米国の経済運営を担う中心人物だが、両者の関係は必ずしもフレンドリーではないように見える。おそらく報道機関も両氏の発言の真意を深く理解していないのだろう。これが経済原稿を読む難しさだ。