昨夜、7時のNHKニュースを見ながら、怒りに似た違和感を覚えた。にもかかわらず、「ぬるま湯」的な引責辞任や、原発再稼働に向けた申請の取り下げといった決断を、批判的に取り上げるメディアは見当たらない。仕方がないので、私が感じた違和感をそのまま書くことにする。

最大の違和感は、勝野哲会長の一言だ。自らの発言が現場へのプレッシャーになったのではないかと問われたのに対し、会長は次のように弁明した。

「必要以上に急がせたわけではなく、遅滞している原因を聞いたうえで、より確実に審査を進めたい、という思いで目標の管理設定など情報の共有化を進めてきたつもりだ」

この人には、会長の職責や最高責任者としての自覚がまったくない。「データを捏造せよ」と直接部下に指示しなくても、「より確実に審査を進めたい」と発言すれば、現場は緊張感を持って受け止めざるを得ない。もっと言えば、会長が部下の説明に不愉快な表情をするだけでも、それがデータ改ざんにつながる不祥事の引き金になりかねないのだ。

外部の弁護士3人で構成された調査委員会の報告書には、次のような記述がある。

「データ選択であっても『自分たちは正しいことをしている』と正当化して確信犯的に行う特異な組織風土があった」

原子力部門の担当者は、会長など経営陣の意向を忖度し、それに合わせて原子力規制委員会に報告していたのだろう。これが、一般常識では測れない中部電力の特異性なのだ。

さらに、勝野会長には、社内に蔓延しているこの特異な体質を自ら作り出したという自覚がまったくない。まるで他人事のように「直接指示はしていない」と自己弁護に終始する。

中部電力では過去に、社内から問題点を指摘する内部通報が2回あったという。2019年と2021年の通報で、いずれも適切に対応されなかったと調査委員会は指摘している。

調査報告書の概要を見ると、「経営陣のプレッシャーと叱責」や「独自の正当化理論の横行」という項目がある。

前者については、経営陣による「直接的な不正の指示」までは認定されなかったものの、再稼働に向けたスケジュールの遅れに対し、経営トップが原子力部門の担当部署を強く叱責したことなどが、「不適切行為を誘発した要因の一つ」と認定されている。

後者については、「原子力部門の中に、自らの考えや社内論理を最優先し、不適切なデータ選択であっても『自分たちは正しいことをしている』と正当化して確信犯的に行う特異な組織風土があった」と指摘する。

記者会見のニュースを見ながら、勝野会長は社内体質に自分の責任はないと言わんばかりに自己弁護している。NHKは短いニュースの中で、この発言をわざわざ生でオンエアした。

調査委員会も「経営陣の直接的な関与は認められなかった」としており、結果的に引責辞任する会長を擁護しているように見える。NHKも調査委員会も、会長・社長という最高責任者の責任回避に加担しているようではないか。

浜岡原発3、4号機の再稼働申請を取り下げたことが、まるで一連の不祥事への反省の一環であるかのように報じられている。そうだろうか。

エネルギー不安が高まる中、原子力規制委員会の厳しい指摘を受け入れ、正しいデータに基づいて原発の安全性を確保することこそが、電力供給事業者の社会的責任ではないのか。中部電力自身も、申請資料などの信頼性に「重大な疑義」が生じたため、従来の申請を維持することは適切ではないと説明している。

にもかかわらず、特異な体質が染み付いた社内から次期社長を昇格させている。後任社長には、1988年に中部電力へ入社し、専務執行役員などを務めてきた安井稔取締役が就任する。まさに内部昇格である。

悪事に染まった社内体質を改革するには、身内同士が血みどろで殴り合うような修羅場も必要になる。内部の論理に切り込む覚悟がなければ、組織改革などできない。

昇格する次期社長に、そんなことができるのだろうか。

勝野会長の責任逃れとも受け取れる一言に、この会社の実態が凝縮されている気がする。

注① NHKに関する引用は「NHKニュース」を利用した。

注② 調査報告書に関する記述は、調査委員会の報告書およびその概要を参照した。

ジャーナル(15日):中部電力に再生の可能性は見えない、引責辞任を隠れ蓑に“ぬるま湯体質”温存か=後任社長はなんと内部昇格

昨夜、7時のNHKニュースを見ながら怒りに似た違和感を感じた。にもかかわらず“ぬるま湯”的引責辞任や原発再稼働に向けた申請の取り下げといった決断を、批判的に取り上げるメディアは見当たらない。仕方がないから私が感じた違和感をそのまま書くことにする。

最大の違和感は勝野哲会長の一言だ。自らの発言が現場へのプレッシャーになったのではないかと問われたのに対して会長は以下のように弁明した。「必要以上に急がせたわけではなく、遅滞している原因を聞いたうえで、より確実に審査を進めたい、という思いで目標の管理設定など情報の共有化を進めてきたつもりだ」と。

この人は会長の職責や最高権力者としての自覚が全くない。「データーを捏造せよ」と直接部下に指示しなくても、「より確実に審査を進めたい」と発言すれば現場は、緊張感を持ってこの発言を受け止めざるを得なくなる。もっと言えば、会長が部下の説明に不愉快な表情をするだけで、それがデータ改竄に通じる不祥事の引き金になりかねないのだ。

弁護士3人で構成された調査委員会の報告書には次のような記述がある。「データ選択であっても『自分たちは正しいことをしている』と正当化して確信犯的に行う特異な組織風土があった」と。原子力部門の担当者は、会長など経営陣の意向を忖度し、それに合わせて原子力規制委員会に報告していたのだろう。これが一般常識では図れない中部電力の特異性なのだ。

さらに勝野会長には社内で蔓延っている特異体質は、自ら作り出したものという自覚がまったくない。まるで他人事のように「直接指示はしていない」と自己弁護に終始する。中部電力では過去に、社内から問題点を指摘する内部通報が2回あったという。にもかかわらず経営陣はこれを握りつぶしている。

報告書(概要)をも見ると「経営陣のプレッシャーと叱責」とか、「独自の正当化理論の横行」という項目がある、前者は経営陣による「直接的な不正の指示」までは認定されなかったものの、再稼働に向けたスケジュールの遅れに対し、経営トップが原子力部門の担当部署を強く叱責したことなどが「不適切行為を誘発した要因の一つ」であったと認定している。

後者については、「原子力部門の中に、自らの考えや社内論理を最優先し、不適切なデータ選択であっても『自分たちは正しいことをしている』と正当化して確信犯的に行う特異な組織風土があった」と指摘する。

記者会見のニュースを見ながら勝野会長は、社内体質に自分の責任はないと自己弁護。NHKは短いニュースの中でこの発言をわざわざ生でオンエアーしている。調査委員会も「経営陣の直接的な関与は認められなかった」と引責辞任する会長をまるで擁護しているかのようだ。NHKも調査委員会も、会長・社長という最高責任者の責任回避に加担しているようではないか。

浜岡原発再の再稼働申請を取り下げたことが、まるで一連の不祥事の反省の一環であるかのような取り上げ方がされている。そうだろうか。エネルギー不安の高まる中で規制委員会の厳しい指摘を受け入れ、正しいデータに基づいて原発の安全性を確保することこそが、電力供給事業者の社会的責任ではないのか。

にもかかわらず、特異体質の染み込んだ社内から次期社長を昇格させている。悪事に染まった社内体質を改革するには、身内同士が血みどろで殴り合う修羅場も必要になる。昇格する次期社長にそんなことができるのだろうか。勝野会長の責任逃れの一言に、この会社の実態が凝縮されている気がする。

注①NHKに関する引用は「NHKニュース」を利用した

注②調査報告書の引用はGeminiの報告書の概要を利用した