Howard Schneider

FRBが0.25%利上げ、3年2カ月ぶり 年内追加引き締め示唆

[ワシントン/ニューヨーク 16日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は15─16日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、3.75─4.00%とすると決定した。決定は全会一致。FRBは今後数カ月で追加利上げを実​施する可能性を示唆した。

利上げは2023年7月以来、3年2カ月ぶり。トランプ大統領が利下げを期待して指名したウォーシュFRB議長の就任後で初の政策‌変更となる。ウォーシュ氏も全会一致の利上げ決定に加わったことで、トランプ政権がこれまでのところインフレ抑制に十分な成果を上げられていないことが浮き彫りになった。

ウォーシュ議長はFOMC終了後の記者会見で「インフレ率は依然として高止まりしている。今回の政策措置はFOMCが目標とする2%へのより迅速な回帰を後押しするものだ」とし、「金融環境全般を引​き締め的と表現するのは難しい。この認識はFOMC内で広く共有されていたため、金融緩和の度合いを一段階縮小した」と語った。

FOMCに合わせて公表​された最新の金利・経済見通しでは、18人の政策当局者のうち16人が年内に少なくともあと1回、0.25%ポイントの利上げが必要になると予想。⁠現在の金利水準が維持されると見込んだのは2人にとどまった。政策金利は年末までに4.00─4.25%に引き上げられ、27年末時点でもこの水準にとどまるとの見通しが示され​た。ウォーシュ議長は今回も金利見通しを提出しなかったとみられる。

<インフレ抑制、引き続き最優先>

ウォーシュ氏は記者会見で、FRBの最優先課題は引き続きインフレ抑​制にあると指摘。「FRBが担う責務の中で最も重視しているのは物価安定だ。単純な事実として、インフレ率が高過ぎる状態が長期間続いている。この夏に発表されたインフレ指標を見ても、基調的なインフレ動向が有意に改善したとは判断していない」と述べた。

その上で、米経済は前回のFOMC以降に一段と力強さを増したものの、インフレの改善はほとんど見ら​れていないと指摘。労働市場については「失業率はおおむね完全雇用と整合的な水準で推移している」とし、「目標達成のために労働市場を傷つける必要が​あるとは思わない」と言及。FRBは労働市場に悪影響を与えることなくインフレを抑制できるとし、物価安定の確保によって持続的な経済成長をより長く維持できるとの考えを‌示した。

足元の⁠米国債利回り上昇については、FRBに対する信認低下を反映したものではないとの見方を示し、実質的な借入コストの上昇は、経済の力強さに加え設備投資の急増による資金需要の拡大や地政学的要因によってもたらされていると説明した。

<インフレなお高水準>

FRBはFOMC声明で「インフレ率は依然として高い水準にある」とし、今回の決定は「委員会が掲げる2%の目標へのより早期の回帰を支援する」とした。声明には今後の政策決定に関するフォワードガイダンスは盛り込まれなかった。

今​回の声明ではまた、足元の高インフレに​ついて「供給ショック」、特にエネ⁠ルギー分野の供給ショックが要因とする文言が削除された。ウォーシュ議長を含む政策当局者の間で、物価上昇圧力がエネルギー分野にとどまらず、より広範囲に及んでいるとの懸念が強まっていることを反映したものとみられ​る。

トランスユニオンの米国調査・コンサルティング部門責任者を務めるミシェル・ラネリ氏は「今回の利上​げは、FRBが根強いインフレへの⁠対応を引き続き重視していることを示している」と指摘。「インフレ率はピークからは鈍化しているものの依然として高水準にあり、FRBが追加対応に踏み切るに十分な状況が続いている」と述べた。

<金利・経済見通し>

FRBが四半期ごとに公表する金利・経済見通しでは、個人消費支出(PCE)物価指数で測ったインフレ率見通しが上方修正された。PCE価⁠格指数で​見た年末時点のインフレ率予想の中央値は26年が3.7%と、6月時点の前回予想の3.6%から引き上げられた。27年は2.3%(​前回2.3%)、28年は2.1%(前回2.0%)。インフレ率がFRBが目標とする2%に到達する時期は29年と見込まれ、従来予想より1年後ろ倒しとなった。

経済成長率見通しはわずかに引き上げられ、26年の実質国内総生産(GDP)成長率は2.3%と予想された。6月時点​の予想は2.2%だった。27年の予想は2.4%。

失業率については、26年末時点で4.1%になるとの見通しが示された。6月時点の予想は4.3%で、労働市場は従来見通しより底堅く推移するとの見方が示された。